老人保健施設「七宝壁画」

院内散歩・フォトギャラリー


[悠久](過去、現在、未来)   作者:済 葆子

当院併設の老人保健施設には、玄関に入ると大きな七宝壁画が皆様をお出迎えします。
 

[大きさ]400×250センチ
[使用銅板]厚さ1ミリ
[七宝技法]多色、エッチング、噴釉、窯変、マーブル、フリット、描き割、銀箔、金箔など
[使用釉薬]不透明、半透明、透明(銀用、銅用)、窯変など約100色

[作品のモチーフ]
人それぞれの人生には過去があり、現在があり、また未来がある。
過去を想い現在を生き、未来を想って現在を生きている。
いろいろな想いが、タイムトンネルの奥の遠い過去から
現在を通過し、周辺の未来へ広がっていきます。



壁画制作にあたって

1990年4月に八鹿に住み、八鹿町のシンボルが妙見杉と、かつて出雲大社に存在した三重の塔であることを知り、内心驚いていた。私自身八鹿に来る前10年ほど出雲地方に住み、宍道湖の夕焼けの色に魅了され、また、神在りの地としての出雲大社などの存在が不思議でならなかった。なぜ出雲なのか、夕焼け雲の不思議さがいつも神がかり的な気がして、七宝で表現したいと考え取り組んできた。出雲大社へ妙見杉が運ばれ出雲大社の心の御柱となり、そして円山川を遡って出雲大社の三重の塔が妙見山にそびえている、そんな知らなかった歴史が存在していた。そのような想いの私に七宝壁画制作のお話を受けた時、何かの縁と正直思った。

制作にとりかかった時、壁画に地域性を入れるかどうかいろいろ迷った。しかし、この地に永久に実在するものであるならば、あまりそれにとらわれず、人それぞれの想いの中にある気持ちで、過去・現在・未来の想いを無限に続く流れのように、表現してみようと思った。きっとどんな時代になっても、それぞれの人にあまり変わらない想いであろうと思われる。

この作品が老人保健施設に相応しいかどうかわからないが、その時生きて、二度とない人生と解っていても、なお生きる気持ちを抱いて、この壁画のどこか小さな一点に自分自身を置いて、眺めていただくとどんなものかと思っております。

 

1992.11  済 葆子


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