2023年2月17日更新
まだまだ、世間はコロナに振り回されている感はぬぐえません。
最近の一番の話題はゴールデンウィーク明けをもって、新型コロナ感染症を2類相当からインフルエンザと同じ5類に引き下げることが決まりました。この措置が私たちの生活にどのような変化をもたらすのか?についてはマスコミで盛んに報道されているところですが、私自身まだ皆様に自信をもって申し上げる段階ではありませんので、次回以降までもう少し勉強をして述べたいと思っています。
ただ、少なくともコロナウイルスそのものは5類になったからと言って変わるものではなく、相も変わらず2週間に1回程度の間隔で変異を繰り返しながら、少しずつその性格を変え続けているはずですし、いまだ落ち着く先は見通せない状況に変わりはありません。
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さて、今回はいったんコロナと離れて、私の趣味のひとつである将棋界が今おおいに盛り上がっているというちょっと軽めの“ひとりごと”です。将棋のことなど分からんな、という方は今回はパスかもしれませんが、現在の将棋界の第一人者である藤井聡太さんについて、「将棋は知らないけど名前は知っている」という方もたくさんおられるかと思います。
その藤井聡太さんが有するタイトルの一つである“王将”に今回将棋界のレジェンド羽生善治九段が挑戦者として名乗りを上げたことで将棋ファンにとっては願ってもないタイトル戦が実現しました。
羽生さんも若いころはまさに今の藤井聡太さんにも負けないくらいの勢いでしたし、当時少々不利な局面でもアッという間に逆転劇を演じ、”羽生マジック“と恐れられていました。藤井聡太さんの将棋も終盤でひっくり返すところがよくあるのですが、それに加えて中盤までは一見互角に見えるところからいつの間にか相手の王様を追いつめるので、”藤井曲線“という異名がつけられています。この”藤井曲線“の網にかかるといかにあがいても結局は負けてしまい、対戦相手から「どこで悪くしたのかわからない」というプロらしからぬコメントがよく出てきます。
将棋でもそうですが、大相撲や野球などのスポーツでも才能あふれる新進気鋭の若者がその折々のトップとのいわゆる世代間の競争を繰り広げることは、見ているファンにとっては最高のプレゼントです。将棋界でもその例外にもれず、記録や記憶に残る世代間の競争がありました。
私が父から将棋を覚えた小学生の頃(昭和40年代前半)は、今ほど情報がリアルタイムに届く時代ではなく、将棋の話題が新聞に載るのはタイトル戦の結果ぐらいで、それも社会面の下の方でした。
当時は”巨人“と言われた大山康晴15世名人が君臨した時代でした。私と同じ世代では谷川浩司17世名人が一時代を築きましたが、彼もまた終盤の強さがピカイチで”高速の寄せ“と呼ばれていました。その谷川さんと羽生さんは年齢差が8歳で世代間というにはすこし少ないかもしれませんが、この2人は何度もタイトル戦を戦い、記録のみならず将棋ファンの記憶に残る勝負を演じてきました。それはあたかも市街戦を戦うかのようなタイトルの争奪合戦でした。
世代間競争では新進気鋭の若者が時の王者を最終的には凌駕するのがほぼほぼお決まりのシナリオですが、谷川―羽生戦でも当時7つあったタイトルが少しずつ羽生さんに渡り、谷川さんの最後の砦である”王将“を奪取した羽生さんが史上初めて7冠のタイトル独占を果たすことになりました。 ただ、谷川さんがすごかったのはそのあとで、羽生さんから一時”名人“と”竜王“の2つのタイトルを奪い返し、これには私も興奮したことを今でもよく覚えています。
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将棋が一番強いときは20代後半から30代前半と言われていますが、さすがの羽生さんをもってしても年齢とともにより若い世代の棋士にタイトルを奪取されていきました。羽生さんも今年で52歳、全盛期の強さはさすがに影を潜めていましたので、若い勢いのある棋士たちを破ってタイトル挑戦に至ることは至難と思われていました。でも、将棋ファンは一度でいいから藤井―羽生のタイトル戦を見てみたいと思っていたに違いありません。
今回羽生さんはトップ棋士7人でリーグ戦を争う王将リーグを全勝で突破し、藤井王将への挑戦権を獲得しました。これだけでも十分びっくりなんです。藤井聡太さんは20歳ですから羽生善治さんとの年齢差は30歳を超える「現在の絶対王者と将棋界のレジェンドとのタイトル戦」が実現しました。
タイトル戦は1回の勝負で決まるものでなく、7番勝負か5番勝負で行われます。王将戦は7番勝負ですので野球の日本シリーズと同じで、先に4つ勝った方が勝利者です。私はこの原稿を2月6日に書いていますが、ここまで3局行われています。いずれの対局も見どころ満載で、現状は藤井王将2勝、羽生九段1勝となっています。現状の実力を冷静に考えれば藤井王将が有利であることは間違いありませんが、どちらが勝つにしてもできれば3勝3敗になり、勝負の行方が最終第7局のフルセットに持ち越されたら記憶に残るタイトル戦になるに違いなく、これは私のみならず将棋ファンの切なる思いといえます。将棋界も新陳代謝の厳しい業界ですので、かつての絶対王者と現在の絶対王者との世代を超えてのタイトル戦はなかなか実現しないものですが、今回は羽生さんのおかげというか復活でこれ以上ないタイトル戦を見ることができました。長く生きていると100年に一度あるか、無いかの場面に遭遇することもあるもんだと思っています。と言っても私はまだ今年で66歳、養父市ではまだまだ若造でしょうね。
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“将棋の話ばかりされてもなぁ”と思いつつもここまで読んでいただいた方に別のもっとゆるい話題提供、それはお菓子の話です。
将棋(囲碁もそうです)のタイトル戦は例外なく全国各地を転戦するのが通例となっています。今ほどのネット社会でない時代は、タイトル戦が行われる場所はほぼ決まっていました。今は様々なところで行われ、それをほぼリアルタイムで発信するのが当たりまえになっています。そのおかげでタイトル戦が行われる地方にとってはいい宣伝にもなります。このリアルタイムの発信というが”みそ”ですよ。
将棋のタイトル戦ではその地方ならではの食事やその地方で有名なお菓子が、おやつとして対局者に提供されます。それがいわゆるSNSで拡散されアッという間に広がり、提供したお菓子に注文が殺到するという地方には嬉しい経済効果をもたらしています。
少し前に冬季五輪のカーリング女子のモグモグタイムで話題となった北見市のチーズケーキ”赤いサイロ“がとても評判となりました。中には、そのためだけに東京から現地の店に並ぶ人も現れたという報道もありました。それほどの過熱さはありませんが、「将棋のことは分からないが、提供されるお菓子が楽しみで見ている」という女性ファンもおられるようです。これも藤井聡太というスーパースターの出現が大きなターニングポイントであったことは間違いのないところです。
昨年、別のタイトル戦の竜王戦(藤井竜王が防錆)の対局が福知山城で行われました。その際、提供されたお菓子の一つが福知山の”おいしふぉん”という店が提供するシフォンケーキでした。このケーキの目玉は小麦粉を使わず、米粉で作っていること、つまり、今ダイエットでちょっと注目されている”グルテンフリー”のケーキなんです。それもなかなかの美味、なんでおいしいと言えるのか?実はオペ室の看護師さんの一人が買ってきてくれる、というのでみんなで食べようとなったからです。もちろんスポンサーはお菓子に目がない私。私は基本、和菓子派なんですが、このシフォンケーキは私的には和菓子でしたね。1日に作れる数が限られているようで、なくなったら閉店だそうです。
将棋を楽しみながらお菓子の情報が入ってくるなんて、ひと昔前は想像ができなかったです。おそらく全国の各地にはその地方の老舗と言われるお菓子屋さんがあるでしょうし、私が知らない美味な和菓子もたくさんあると思います。
これまで自分で買ったり、人づてに聞いたり、お土産でもらったりで結構いろいろいただきました。私はアルコールがダメなので根っからの甘党、お菓子の味には結構うるさい人間だと思っています。このお菓子なら誰に差し上げても文句は出ない、と勝手に決めているものがいくつかあります。店の宣伝をするつもりはありませんが、お取り寄せができたり、ふるさと納税の返礼品になっているものもありますので、お菓子好きな方は一度お試しください。
1、いと重菓舗(滋賀県彦根市) 「埋もれ木」
最初に挙げたいのは滋賀県彦根市にある、いと重菓舗さんの”埋もれ木”です。抹茶をまぶしてあり、抹茶が好きな方には特におすすめです。この老舗は代々彦根城主井伊家御用達の店だったそうで、江戸時代から続くお菓子屋さんです。もしかしたら、かの井伊直弼も食べたかもというお菓子です。
2、御堀堂(山口県山口市) 「ういろう」
2つ目が山口県山口市にある、御堀堂さんの”ういろう”です。”ういろう”といえば名古屋が有名ですが、名古屋のういろうとはまったく異なった原料と製法で作られていますので食感もまったく別物です。山口のういろうは室町時代に中国から伝わったそうで、御堀堂さんではその伝統的な製法を受け継いでおられるとのことです。
3、開運堂(長野県松本市) 「老松」
3つ目は長野県松本市にある、開運堂さんの”老松”です。長野県に学会等で出向いた折は必ず買って帰ります。小豆が好きな方にはおすすめの品です。
まだまだありますが、今回は私のイチオシを3つ挙げてみました。洋菓子よりはカロリーは控え目でしょうから年を取るとケーキよりいいかな、という勝手な思い込みですが、やはり和菓子は味わい深いと思います。暑い夏でも熱い日本茶が飲みたくなるお菓子、が私の思う最高の贅沢品です。今回はつまらん話におつきあいいただきありがとうございます。